結婚する前の20代の若いカップルが相談に来られプロジェクトが始まりました。予算は相当厳しく、予算内で何ができるのか何度も検討し、必要でないものから削ぎ落としシンプルな形ができあがりました。
この住宅は、「延床面積32坪」とけっして広くはないです。主寝室、子供室、そして浴室、洗面室、トイレなどの水周りのプライバシーを優先する場所を「閉じた=仕切られた部屋」と考えると、家の大半は、閉じた部屋になってしまいます。しかし、それぞれの場所の関係において、距離をつくることで、仕切らずに生活できると考えました。
この住宅は、[ 吹抜け]-[ 階段]-[ 廊下] の一体空間がその距離をつくりだしています。それぞれの場所がこの空間によって生活の中で適度なつながりと、心地よい距離間ができて、仕切りを必要としない建物になりました。
一室的な空間の構成は最終的な解答ではなくて、壁の省略によってコストを下げること、かつ将来のライフスタイルに合わせて変更できるためでもあります。コンパクトで箱型のデザインは何よりもローコストを実現するために有効です。一室空間を単純な箱型にまとめることによって、明確な表現と単純な構造を実現しています。