昔下町であった住宅街にある敷地は間口が7mといわゆる狭小な間口にあたる。
南向きと光を取り入れるには好条件だが東西は住宅で隠れてしまい南に大きな開口を設けると室内が見えてしまう。それらを解消するため、中心にアクセントウォールのように白い壁を塊のように見せ、その周囲にサッシを設けることにより採光と視線を遮ることを可能にし、白いキューブをアクセントとしている。赤茶色のレンガ調タイルは凹凸の表面が陰影を生み出している。その両袖壁の真ん中に白いキューブがポッこりと浮かんでいて、不思議なデザインとなっている。
室内もアクセントウォールにタイルやペイントなど様々な質感や表情のものを使用している。それは壁ごとにテレビを見る、勉強をするなど役割を持たせており、それらを可視化する意味合いもある。可視化することで狭小の空間を扉や壁、カーテンで仕切ることなく様々な生活の範囲を区切りある程度固定することによって、様々な要素が雑多にならずグラデーションのように溶けあう空間になっている。